AI に日本株の投資判断をさせるシステムを個人で作っている話

AI に日本株の投資判断をさせるシステムを個人で作っている話 はじめに

最終更新:2026年9月24日。この記事は、開発の進み具合に合わせて書き直していきます。

この記事の要点

  • 日本株のデータ・開示情報・ニュースを集め、売買の判断を出すシステムを個人で開発しています
  • 判断の骨格は検証済みのルールとし、AI はその上で候補の選別や見送りを判断する役割です
  • 現在はルールだけで動かすペーパートレードの段階で、次に AI を組み込み、AI ありとなしの成績を比べます

なぜ作り始めたのか

理由は2つあります。

AI の売買判断がどこまで通用するのかを知りたかった

AI に株の分析をさせる話は増えていますが、その判断で実際にどの程度の成績になるのかを、継続して記録している例はあまり見かけません。自分で作って、数字で確かめることにしました。

自分のトレードを AI に評価してほしかった

自分の売買について、良かった点と悪かった点を AI に指摘してもらい、それを次の判断に取り込める仕組みがほしいと考えました。そのためには、売買の判断と結果を、あとから分析できる形で記録しておく必要があります。

実際の口座での売買を記録し始めるのは、ペーパートレードでの検証が済んでからの予定です。

設計の方針

AI に任せる部分と任せない部分を分けるため、次の5つを方針にしています。

1. 売買の骨格はルールで決める

売買の骨格は、過去のデータで検証したルール(どういう条件で買い、どこで損切りし、どこで利益を確定するか)です。AI はその上で、候補の中から銘柄を選んだり、決算やニュースを読んで見送りを判断したりする役割を担います。

AI にはルールの判断を覆す権限を持たせますが、覆してよいのはリスクを減らす方向だけです。ルールが買わないと判断した銘柄を、AI の判断で買うことはしません。

2. AI の判断は過去のデータでは検証できない

AI(大規模言語モデル)は、学習した時点までの出来事を知っています。過去のデータで AI に判断させると、答えを知った状態で判断することになり、成績が実力以上に良く見えてしまいます。

そのため、AI の判断が有効かどうかは、これから先の相場で、ペーパートレードによって確かめます。

3. リスク管理はプログラムで行う

1回の取引でどれだけの損失を許すか、全体の資産が最高値からどこまで下がったら新しい売買を止めるか、といったリスク管理は、AI に任せずプログラムで計算して検査します。資産が最高値から10%下がることを、許容できる損失の上限としています。

4. 数値は必ずデータベースから取る

AI が株価や財務の数値を推測したり、作り出したりしないように、数値はシステムのデータベースから取得させます。

5. 判断の理由と結果をセットで記録する

「なぜその判断をしたか」と「結果どうなったか」を紐づけて残します。このサイトで公開している売買の記録も、この仕組みから出ています。

システムの全体像

毎日、自宅のパソコンで次の流れが自動で動いています。

システムの全体像。データの収集からペーパートレードの記録までが毎日自動で動き、AI の評価はこれから候補の絞り込みとルールの判断の間に入る

  1. データを集める — 株価、企業の適時開示(決算などの公式発表)、ニュース
  2. 候補を絞る — 条件に合う銘柄を探す(スクリーニング)
  3. ルールで判断する — 買う価格、損切りの価格、利益を確定する価格を決める
  4. リスクを確認する — 損失の上限や、特定の銘柄に偏っていないかを検査する
  5. 通知する — 売買の内容をチャットツール(Discord)に送る
  6. ペーパートレードで記録する — 仮想の口座で約定させ、損益を計算する

これから、2 と 3 の間に AI による評価が入ります。

実際の口座での売買は、システムが自動で行うことはありません。通知を見て、人が手で発注します。

技術的な構成

構成は次のとおりです。

  • バックエンド:Python(FastAPI)、データベースは SQLite
  • 画面:Next.js
  • 通知:Discord
  • 実行環境:自宅の Windows PC(タスクスケジューラで毎日実行)
  • AI:Claude

詳しい作り方は開発記録で書いていきます。

開発の進め方:2つの AI に役割を分ける

このシステムは、2つの AI に役割を分けて開発しています。調査・設計・レビューを Claude(Anthropic)、実装とテストを Codex(OpenAI)が担当し、方針の決定と最終確認は運営者が行います。

開発の役割分担。Claude が設計書を書き、Codex が設計書を読んで実装し、その実装を Claude がレビューする。運営者は両方に依頼と承認を行う

AI 同士のやり取りは、チャットではなく設計書を通して行います。実装を直す必要が出たら、まず設計書を直し、その設計書を参照する形で実装を依頼します。

うまくいかなかったこともあります。ある段階の実装をレビューしたところ28件の指摘が出て、その半分の14件は「設計書には書いてあるのに実装されていなかった」ものでした。こうした経験も開発記録で公開していきます。

今どこまで進んでいるか

開発は段階(フェーズ)に分けて進めていて、段階ごとに「次へ進むための合格基準」を数値で決めています。

開発の段階と現在地。段階1は稼働中、段階2は完了したが基準未達、段階3は稼働確認中、段階4は設計済み、段階5は未着手

段階 内容 状態(2026年9月23日)
1 データの収集とチャートの画面 稼働中。データは毎日自動で集まっている
2 ルール型の売買戦略と、過去データでの検証 完了。合格基準には届かなかった(下記)
3 リスク管理、通知、ペーパートレード 10営業日の連続稼働を確認中(10月上旬に完了予定)
4 AI による分析の追加(ペーパートレード) 詳細設計を終え、段階3の完了を待って実装に入る
5 少額での実際の売買(手動で発注) 未着手

ルール型の戦略は、8種類とも合格基準に届かなかった

段階2では、8種類の売買ルールとその組み合わせを、過去のデータで検証しました(バックテスト)。合格基準は次のように決めていました。

  • 手数料などのコストを含めて、TOPIX(配当込み)を年率で2%以上上回る
  • 資産の最高値からの下落(最大ドローダウン)が10%以内
  • プロフィットファクター(利益の合計 ÷ 損失の合計)が1.3以上

過去のデータは、ルールを作るための期間と、最後の確認のために取っておく期間に分けています。ルールを作るための期間で探した段階で、最も成績の良かった組み合わせでも結果は次のとおりでした。

指標 結果 基準
年率リターン +5.1%
TOPIX との差 +0.4% +2% 以上
最大ドローダウン −10.5% −10% 以内
プロフィットファクター 1.30 1.3 以上

ルールだけでは基準を満たせませんでした。確認用に取っておいた期間は、この時点では使わずに残してあります。

そこで方針を切り替えました。ルールは「候補を選ぶための道具」として使い、そこに AI の判断を加えたときに成績が良くなるのかを、ペーパートレードで確かめます。今動いているルールだけのペーパートレードは、そのときの比較の基準になります。

今後の主な検証項目は、AI を加えた成績がルールだけの成績を上回るかどうかです。3か月以上、30回以上の取引を目安に判定し、結果はこのサイトで公開します。

このサイトで読めるもの

開発記録(連載)

開発の順番に書いています。

  1. AI の投資判断はバックテストできない|先読みバイアスと、先の相場で確かめる設計
  2. Python で日本株の日足・開示・ニュースを毎日集める|無料のデータ源でつまずいた5点

サイトの方針や、公開していないものについてはこのサイトについてをご覧ください。


当サイトは情報提供を目的としており、投資助言を行うものではありません。掲載している売買記録は仮想売買(ペーパートレード)であり、実際の取引の結果ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは免責事項をご覧ください。

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